寄付・会員募集を増やすためのNPOサイト設計5つのコツ

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NPOにとって、寄付や会員は活動を支える重要な基盤です。しかし、多くの団体が「寄付が集まりにくい」「会員募集ページを設けているが成果が出ない」といった課題を抱えています。実際には、活動内容に共感する人がいても、サイトの情報構造や導線が理由で寄付や入会へ進めないケースが少なくありません。

本記事では、寄付や会員募集の成果を高めるために、NPOサイトが持つべき情報設計と導線設計のポイントを整理し、再訪率と支援獲得率を上げるための具体的なコツを解説します。サイトの改善を検討しているNPOや非営利団体の方に役立つ内容です。

監修者
平田 遊

株式会社Toyro 代表取締役。2013年から多くの企業HPを制作。自社メディアは月間200万PVを達成。大手IT企業に入社し国内最大規模のサービスに携わる。2022年12月株式会社Toyro創業。

1 寄付・会員募集が増えないNPOサイトの共通課題

寄付や入会を増やすために、活動内容の充実を図る団体は多いものの、Webサイトの仕組みが追いついていないケースがよく見られます。

まず押さえておきたいのは、NPOサイトには次のような共通課題があるという点です。

  • 活動内容が多岐にわたり、情報が整理されていない
  • 寄付や入会のメリットが一目で分からない
  • 団体の信頼性が伝わる情報が不足している
  • 寄付ページや会員登録ページが見つけにくい構造になっている
  • 更新が滞り、活動が止まっているように見えてしまう

NPOの場合、寄付や入会は「共感」と「信頼」が基盤になります。情報が整理されていなかったり、更新が止まっていると、それだけで寄付や参加の意思が低下します。逆に言えば、サイトの情報設計を改善するだけで成果が大きく変わる可能性があります。

2 成果につながるNPOサイトの基本設計

寄付や会員募集を増やすには、NPOサイト全体の構造を整える必要があります。特に重要な視点は次の通りです。

活動内容を一言で理解できる構造にする

団体のミッションや理念だけではなく、何を解決し、どのような成果を生んでいるのかを明確に提示することが重要です。

寄付・会員登録への導線を迷わせない

ヘッダーメニューやファーストビューにボタンを配置するなど、寄付と入会を迷わず選べる構造が必要です。

実績・活動レポートを一次情報として公開する

活動が見える化されていないと信頼性が下がります。数値や写真を含む現場の情報は特に効果的です。

更新性を確保する

活動レポートやお知らせを更新しやすいCMS構造にすることで継続性が保たれます。

このように、支援を増やすためにはサイト全体を支援者目線で再構築することが欠かせません。

3 寄付・会員募集を増やすための5つのサイト設計のコツ

ここからは、寄付や会員募集を増やしたいNPOが必ず押さえるべき五つの設計ポイントを解説します。


コツ1 寄付・会員ページへの導線を最短化する

寄付や会員登録を増やすための最も基本的なポイントは「迷わせない」ことです。

支援の意欲がある人でも、目的のページにたどり着けない場合は離脱につながります。特に、寄付や会員登録は動機が高いタイミングが勝負です。その瞬間に導線が遠いと機会を逃します。

以下の工夫が有効です。

  • ヘッダーメニューに寄付と会員募集のボタンを常設する
  • スマホ画面の最上部にも固定ボタンを設置する
  • ファーストビューに寄付と入会の行動ボタンを配置する
  • 活動紹介ページの末尾に寄付導線を置く

導線を最短化するだけで、支援に進む人数は大幅に増えます。


コツ2 活動内容を一次情報として分かりやすく掲載する

寄付や会員登録を増やすためには、その団体が何を解決し、どのような成果を出しているのかを分かりやすく伝えることが重要です。

特に有効なのは、次のような一次情報です。

  • 活動レポート
  • 写真付きの現場の記録
  • 数値を示した支援実績
  • 当事者や参加者の声

抽象的な理念紹介だけでは、寄付の意思決定につながりにくくなります。一方、現場の一次情報は検索評価にも寄与するため、SEOの観点でも大きなメリットがあります。

活動の変化や成果が視覚的に伝わることで、寄付者は「自分の支援がどのように役立つのか」をイメージしやすくなります。


コツ3 寄付と会員の価値を明確に伝える

NPOサイトでは「寄付すると何が変わるのか」「会員になるとどんな価値があるのか」が不明確なケースがよくあります。

支援者は善意だけで行動するわけではありません。「自分の支援が何につながるのか」が分からなければ行動しづらいものです。

寄付と会員の価値は次のように整理して伝えると良いでしょう。

寄付の価値

  • 社会的インパクトにつながる
  • 活動の維持・拡大に貢献できる
  • 寄付金の使途が明確で安心できる

会員の価値

  • 活動に参加できる
  • 最新情報を優先的に得られる
  • 仲間とのコミュニティに参加できる

価値を明確に伝えることで、支援への心理的ハードルが下がります。


コツ4 共感を生むストーリーを設計する

寄付や会員登録は数字だけでは動きません。多くの場合、寄付者は団体の理念やストーリーに共感して支援を決めます。

そのため、次のようなストーリーをサイト内で展開することが効果的です。

  • 団体が立ち上がった背景
  • 解決しようとしている社会課題
  • 現場で起きている変化
  • 支援によって実現する未来

ストーリーがあると、団体の存在価値が明確になり、支援のモチベーションが強まります。代表のメッセージやスタッフの想いも大きな説得力を持ちます。


コツ5 安心して寄付できる環境づくりを徹底する

寄付は「信頼」が最も重視される行動です。そのため、NPOサイトには高いレベルの透明性とセキュリティが求められます。

信頼を支えるポイントとして次が挙げられます。

  • SSLによる通信保護
  • サイト改ざんの防止
  • 信頼性の高い決済サービスの採用
  • 年次報告書や財務情報の公開
  • 活動実績を継続的に更新する仕組み

サイトの安全性が低いと、それだけで寄付の意思が弱まります。安心して支援できる環境を示すことは、寄付促進に直結します。

4 寄付や会員募集の成果を最大化する運用設計

サイトを改善するだけではなく、継続的な更新や分析も不可欠です。

特に重要なのは以下の運用です。

CMSで誰でも更新できる状態にする

NPOは人員が限られるため、誰か一人に依存せず更新できるCMS設計が非常に重要です。

活動レポートを定期的に更新する

更新が止まると信頼性が下がるため、無理のない範囲で更新できるスケジュール設計を行います。

会員・寄付者へのフォロー導線を用意する

メール配信やSNSと連動させることで、再訪率を高められます。

アクセス解析を活用する

GA4などで寄付ページや活動レポートの閲覧状況を分析すると改善ポイントが見えてきます。

5 まとめ

寄付や会員募集を増やすためのNPOサイトには、
情報設計、導線設計、共感設計、信頼性、更新性
これらの要素が欠かせません。

サイトの構造を支援者目線で整えることで、寄付や入会の心理的ハードルが大きく下がり、成果につながりやすくなります。

NPOの活動を広く伝え、共感を届けるためにも、支援者が迷わず行動できるサイト設計を進めていくことが重要です。

寄付や会員募集につながるサイト改善を検討している場合は、お気軽にご相談ください。

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