業務・地域・悩みで検索される士業サイトの導線設計術

士業サイトの多くは、業務内容を丁寧に説明しているにもかかわらず、問い合わせにつながりにくいという課題を抱えがちです。業務紹介ページは存在しているものの「ユーザーがどこから来て、何を求め、どのページへ移動すべきか」という導線が整理されていないため、離脱が発生しています。
士業の場合、ユーザーは明確な課題を抱えて検索するケースがほとんどです。地域密着型である一方、専門的な業務が多岐にわたるため、導線設計が弱いとユーザーが迷いやすく、結果として問い合わせの機会を逃してしまいます。
本記事では、士業サイトの成果につながる導線設計を、業務・地域・悩みの三つの検索軸から解説します。

監修者
平田 遊
株式会社Toyro 代表取締役。2013年から多くの企業HPを制作。自社メディアは月間200万PVを達成。大手IT企業に入社し国内最大規模のサービスに携わる。2022年12月株式会社Toyro創業。
1 士業サイトが成果につながりにくい理由
士業のサイトは、業務説明に重きが置かれる傾向があります。しかし、それだけでは問い合わせへ直結しにくいという特徴があります。
理由として次のような点が挙げられます。
- 専門用語が多く、ユーザーが目的のページに途中で挫折する
- 業務が多いため、一覧性の低いサイト構造になりやすい
- 地域名や業務名で検索されても該当ページへ到達しづらい
- 悩みに合わせた導線ではなく、事務所側の分類でページが作られている
士業のユーザーは「緊急性の高い悩みを抱えている」ことが多いため、導線設計は一般企業よりも重要性が高くなります。
2 士業の検索行動は「業務」「地域」「悩み」の三軸で決まる
士業のサイトを訪れるユーザーの検索行動を分析すると、大きく以下の三パターンに分類できます。
業務検索
- 行政書士 会社設立
- 税理士 相続税申告
- 司法書士 相続手続き
業務名を直接検索し、専門家を探すケースです。
地域検索
- 行政書士 横浜
- 税理士 町田
- 司法書士 大和市
地域の近くで相談したいというニーズから検索されます。
悩み検索
- 遺産分割の方法
- 離婚協議書 作成 方法
- 補助金の申請の流れ
ユーザーの悩みに直接紐づく検索です。
これらの三軸それぞれに対して最適化された導線を設計することが、士業サイトの成果を大きく左右します。
3 導線設計が士業の問い合わせ率を左右する理由
士業のユーザーは、明確な悩みを抱えてサイトを訪れます。つまり「必要なページにたどり着けるかどうか」が、問い合わせに進むか離脱するかを決める重要な要因になります。
導線設計が弱いと、次のような問題が発生します。
- 業務の網羅性はあるが、どこから探せばよいか分からない
- 地域名で検索して到達しても、次の行動を促す導線がない
- 悩みを抱えるユーザーに必要な情報が整理されていない
逆に言えば、導線設計が適切であれば、多少デザインが簡素でも成果が出るケースが多くあります。士業サイトにおける導線設計は、成果の核となる部分です。
4 業務検索に対応する導線設計
業務名で検索された場合、ユーザーは「専門家に相談できるかどうか」を直感的に判断します。そのため、業務検索に強い導線設計では以下が重要です。
業務一覧をカテゴリで整理する
業務が多岐にわたる士業は、一覧性が低いとユーザーが迷います。
例として以下のような構成が有効です。
- 企業向け業務
- 個人向け業務
- 行政手続き
- 相続関係
- 労務・税務
カテゴリーを明確にすることで「自分がどこを見ればいいのか」が理解しやすくなります。
業務ページの冒頭に結論を示す
業務ページには、次のようなユーザーの不安が存在します。
- 相談できるのか
- 難しい手続きなのか
- どのように進むのか
- 費用は高くないか
これらはページ冒頭で整理されているほど離脱しにくくなります。
業務ごとの問い合わせ導線を統一する
問い合わせ方法がページごとに異なると、ユーザーは戸惑います。
士業の場合、フォーム、電話、相談予約など、複数の導線が必要ですが、位置とデザインは一貫させるべきです。
5 地域検索を強化する導線設計
士業は地域集客と非常に相性が良い職種です。地域検索に強いサイトは、問い合わせ率が高くなります。
地域名入りのサービスページを作る
- 行政書士 横浜 会社設立
- 税理士 大和市 相続
など、地域と業務を組み合わせたページは地域SEOに効果的です。
地域ごとの実例や相談傾向を掲載する
ユーザーは自分の地域に詳しい専門家を好むため、地域特性を示す情報は信頼獲得につながります。
アクセスマップや地図情報を充実させる
地域検索から訪れるユーザーには「アクセスのしやすさ」が重要です。
地図、最寄り駅、駐車場などを明確に記載すると問い合わせへ進みやすくなります。
6 悩み検索に応えるコンテンツと導線
士業サイトの中でも、悩み検索への対応は特に成果につながります。
悩み別ページをつくる
相続でも悩みは多様です。
- 遺産分割がまとまらない
- 相続税が発生するか不安
- 必要書類が分からない
悩みごとのページを作ると、ユーザーは自分ごととして読み進めやすくなります。
よくある質問を体系化する
FAQページは悩み検索と非常に相性が良い形式です。
項目によって整理すると探しやすくなります。
次に読むべきページへの導線を置く
悩み検索のユーザーは不安が強いため、ページを読み終えた後に新しい疑問が生まれます。
「次に読むべきページ」を明示すると、回遊性が高まり、問い合わせ率も向上します。
7 導線を支える情報構造とSEO
導線設計は、情報構造と検索対策の両面で成り立ちます。
サイトマップの階層を明確にする
業務、地域、悩みの三軸で階層を整理することで、検索エンジンにも内容が正確に伝わります。
内部リンクで導線をつなぐ
士業サイトはページ数が多くなりやすいため、内部リンクが不十分な場合、検索エンジンがページを認識しにくくなります。
専門性の高い一次情報を掲載する
実務経験から生まれるリアルな情報は、検索エンジンおよびユーザー双方に評価されます。
8 更新しやすいCMSが導線改善を後押しする
士業サイトは法改正や制度変更によって更新頻度が高くなります。CMSが使いにくいと情報が古いままとなり、導線改善も進みません。
更新性を高めるポイントとして次が挙げられます。
- 投稿テンプレートの統一
- 事務所内で更新しやすい操作性
- 法改正時にページの一括見直しができる構造
CMSが整っているほど、導線設計も継続的に改善でき、成果が安定します。
9 まとめ
士業のサイトは、ユーザーの検索行動が明確である分、導線設計によって成果が大きく変わります。業務、地域、悩みの三軸を整理し、それぞれに対応した導線を設計することで、ユーザーは迷わず情報にたどり着き、専門家への相談ハードルが下がります。
導線設計は一度整えれば終わりではなく、運用と改善によって強化される要素です。情報構造、内部リンク、CMS更新性など複数の要素が連動することで、士業サイトの価値は高まります。
士業としての専門性を最大限に伝えるためにも、導線設計を軸にしたサイト改善を進めることが重要です。士業サイトの導線改善をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。












